破産手続きはもっとも効果的に債務をなくす手続きであり、実際に多くの方が選択されている手続きであるにもかかわらず、 初めて相談にいらっしゃる依頼者は「破産はしたくない」とのご意見をお持ちであることが多々あります。
自己破産すると今後の生活はどうなってしまうのか?
以前のようなまともな生活が送れないのではないか?
自分や家族が不利益に扱われるのではないか?
子供の将来や結婚に関わるのではないか?
近所や職場に知られてしまうのではないか?
自己破産の申立てを考えている方のほとんどは、このような不安をもっているのではないでしょうか。
そのような不安の中には、正確な知識がないがゆえの誤解が多く含まれます。
まずは、のご相談者から多くお問い合わせがあった内容についてご説明いたします。
民事再生の手続きには2通りあります。また住宅ローンに関する特則があります。
(ア)小規模個人再生
住宅ローンや別除権の付いた担保付債務の差し引いた総債務額の20%(原則)を3~5年(原則3年)で返済する方法。 弁済総額については、元の債務から算出されます。金額については上記の表のとおりです。 債権者の多数決により認可が決定される手続きであり、決議には債権額を基準として過半数を持っている債権者の意見が優先されます。つまり、債権者次第では再生が認められない場合もあるということです。なお、資産総額が債務額から計算した返済総額を上回る場合には、返済総額を支払わねばなりません。
(イ)給与所得者等再生
正社員の会社員のように、定期的に安定した給与収入を得ている人が利用できる手続きです。(アルバイトは原則不可。年金受給者は可)基本的には可処分所得(給与から生活のための最低限金額を差し引いた額)の2年分の返済が必要です。最低返済額は100万円です。最高返済額は規定されておらず、小規模個人再生基準の返済額と可処分所得額(2年分)の高い方の金額が返済額となります。なお、資産総額が債務額から計算した返済総額を上回る場合には、資産価値相当額を支払わねばなりません。
民事再生は、債務者の資産を残しながら、かつ債務を減らす、という手続きの特殊性から、さまざまな制限が設けられています。また保証人がいる場合、主債務者が免責を受けた分については、保証人に支払義務が残ります。詳しくは下記の通りです。
(ア) 債務総額が5,000万円以下であること。
ただし、住宅貸付を受けた債務(住宅ローン)で住宅資金特別条項を適用する場合はこれを全て除き、別除権付債務
(質権や抵当権等)がある場合には、
債権者がその権利を履行した後の残債を総債務額に組み入れます。
(イ) 継続的または定期的に安定した収入が得られること。
小規模個人再生 → 自営業者、会社員(原則正社員) 給与所得者等再生 →
会社員(原則正社員)
(ウ) 自己破産の場合の配当よりも民事再生案の方が多額であること。